長い夜にとどまる冬至のための夢の儀式
- ツキヨミノ

- 2025年12月20日
- 読了時間: 8分

なぜなら、世界と世界のあいだに橋や扉をつくることがこれからますます必要になるから。そして、あきらめるという言葉は、わたしの内には決して存在しないのだから。
(ナタシャ・マルタン『野生の声を聴け』より)
冬至は、夜がその限界まで伸びる瞬間。大地も、身体も、時間も、すべてが静まり返るとき。北半球では、12月21日から22日にかけて。一年でいちばん長い夜となる。古代の人々は言った。この日、太陽は立ち止まるのだと。その静止のなかで、何かがひらく。一年を通して語られなかったことが、ようやく、ささやき始める。
好むか好まざるかにかかわらず、冬は、地上のいのちにとって欠かせない季節。スピリチュアルな次元では、冬はわたしたちに深い在り方を差し出してくれる。発酵の時間、沈黙のなかで働く根、内側で育っていく夢の季節。熱のまどろみが静けさへと譲るとき、自然は歩みをゆるめ、無意識は伸びやかに広がり、夢は厚みをもちはじめる。
心は、音もなく発酵していく。大地の下で眠る種のように、夢もまた、闇のなかで芽吹いている。冬は、花を咲かせる時ではない。発酵のための時間。急がないものの中に、叡智がある。動いていないように見えるところに、確かな孕みがある。
「長い秘密の眠りから、大地の暗いはらわたの中で炭素は目覚め、ダイヤモンドとなる」と、パラナ州の詩人エレナ・コロジーは書いている。
自然のすべてが、わたしたちをこんなゆるやかなリズムと招いている。動物たちは冬眠し、葉は落ち、枝は衣を脱ぐ。
それなのに、なぜわたしたちはスローダウンしようといないのだろう。
冬は、沈黙の中でしか聴こえないものに耳を澄ますための季節。目に見えないものを養う時間。そして、この時期に欠かせない糧があるとすれば、それは夢。
「冬至」という言葉は、ラテン語 sol sistere「太陽が立ち止まる」に由来する。光が影に場をゆずり、世界が、いつもよりゆっくりと呼吸する瞬間。多くの伝統において、このとき女神は老女の姿で、来たる光を胎内に宿すとされてきた。また、世界と世界のあいだのヴェールが薄くなり、夢が声をもちはじめる時でもある。夜は厚みを帯び、豊かで、象徴に満ちたものとなる。それは、イメージや繊細な力が行き交う暗い子宮、生成の場。
この時期に眠ることは、時間の厚みに身をそろえること。集合的無意識がざわめき、イメージは入り混じり、個人的なものは、惑星的なものと溶け合っていく。夢を見ることは、大地の声に耳を澄ますひとつのかたちになる。この時期に見る夢は、もはや自分だけのものではないのかもしれない。それは、時のもの、世界のもの、分かち合われた痛みや、まだ形をもたない可能性のもの。このとき、夢は予言にも、告発にも、そして種にもなりうる。

夢が冬至と出会うとき
それは、いま起きている出来事でありながら、何百万年も前から繰り返されてきた瞬間。夜が、その長さの極みに触れるとき。凍てついた大地の沈黙と、まだ生まれていない何かのかすかな囁きのあいだで、世界はひととき、宙づりになる。時間に忘れられた空き地の奥で、ひとつの火が、急ぐことなく、ゆっくりと燃えている。
そこに腰を下ろすのは、ふたりの古い伴、夢と、冬至。冬至は、苔と根と影で織られた外套をまとい、夢は、霧と象徴でできたチュニックを身にまとう。ふたりはそれぞれ、異なるかたちで時間を抱えている。そして今夜、ふたりは語り合うことを選ぶ。
その対話は、古い夢の書に記されていく。一文字一文字、ていねいに描かれた文字で。
冬至:わたしの時が来た。すべては内へと引き戻される。葉は内へ向かい、動物たちは息をひそめ、人間たちは……抗おうとする。それで、夢よ。なぜ、きみはわたしを訪ねてきたのか。
夢:それは、きみの時間にこそ、わたしの声がいちばん高く響くから。きみが世界を暗くするとき、わたしはイメージに火を灯す。
冬至:けれど、きみの夢を見る者たちは、闇を恐れはしないのか。
夢:恐れているよ。でも、昼の光が身をひそめるときこそ、魂は、いちばん必要な声を聴く。焦りは眠り、見張りはほどけ、わたしは、裂け目から流れ込む。
冬至:最近のきみは、ずいぶんと予兆に満ちているようだ。警告、鏡、影……どうしたんだ?
夢:人間たちが、目覚めたままわたしの声を聴くことを忘れてしまったからだ。疲れていて、休息か、気晴らしか、あるいは解読しないとわからないという。でも、わたしは謎ではない。まだ名をもたないものの言葉なのだ。
冬至:わたしも、よく誤解される。終わりだと思われがちだが、わたしはただの休止。転回点。すべてが、寒さに身をかがめる植物のように曲がる瞬間だ。魔女たちはよく知っている。このときにこそ、新しいものが形づくられ始めるのだと。
夢:たぶん、それがわたしがきみをこんなにも好む理由。きみは、急がない。きみは、わたしに時間をくれる。
冬至:きみは、わたしに深さを与える。きみがそばにいると、沈黙さえ輪郭をもつ。間。火が、ぱちぱちと音を立てる。一羽のフクロウが、急ぐことなく飛び去っていく。
夢:ねえ、いっしょに儀式をしないかい?また、わたしたちの声に耳を澄ませてもらうための小さな捧げものを。
冬至:持続を、儀式として。聴くことを、道として。
夢:それなら、眠りと目覚めのあいだに現れるいちばん繊細なイメージたちを捧げよう。
冬至:わたしは、厚みのある時間を捧げる。罪悪感のない夜を。まだ種であるものが芽吹くために必要な寒さを。
火はしずまり、夜明け前の時間が、もっとも暗い地点へと近づいていく。時間がほとんど立ち止まるその場所で、夢と冬至は、闇を分かち合う。それは欠如としての闇ではなく、孕みとしての闇。
内ごもりの季節に見えないものへと耳を澄ます7つのかたち
眠りの空間を、旅立ちのための祭壇として整える
眠る前に、乾燥させたローズマリーやルーダの煙で部屋を清める。一日のざわめきを消すように、濃い色の布で家具をそっと拭く。枕の下には、意図をこめて選んだ小さなものを置く。水晶でも、羽でも、種でもいい。それは、夢への越境を守る番人となる。
夢へと身体をひらく、月のインフュージョン
一日の最後の光が残るころ、ジャスミン、カモミール、ラベンダー、あるいはマセラの葉で、ハーブのインフュージョンを用意する。それは、やさしい呪文を飲み干すように。できるなら、温める前に、その水をしばらく月明かりの下、または夜の空のもとに置いておく。
問いかけの呪文を、そっとささやく
頭を枕にあずけたら、ひとつの問いを、そっと枕にささやく。それは、夢と闇の時間のあいだに見えない糸を縫いとめるような仕草。こんな問いが浮かぶかもしれない。
「内でまだ眠っていて、芽吹くのを待っているものは何だろう?」
「今夜、訪れようとしているイメージは何だろう?」
「この闇の中で、誰と出会う必要があるのだろう?」
夢を、生きた布に包んでしまう
目覚めたら、ふつうの紙には書かない。淡い色の布に、絵の具や糸で夢を記す。あるいは、夢のイメージの気配をとらえるように、象徴や刺繍、しるしを縫いとめる。織られたひとつひとつの夢は、夜のマントの一片になっていく。
言葉を焼き、イメージに火を灯す
夢のなかで心に触れた断片をひとつ選ぶ。それは、ひとつの言葉かもしれないし、ひとつの色、あるいは身体に残った感覚かもしれない。それを薄い紙に書き、黒、青、またはワイン色のキャンドルで燃やす。その学びが、ふさわしい時が来たら再び戻ってきますようにと願いながら。煙が、そのメッセージを運んでいく。夢は失われない。かたちを変えて、生きつづける。
真夜中の見守り
冬至の夜、真夜中から1時まで、目を覚ましたままでいる。そのあいだ、キャンドルに火を灯し、完全な沈黙の中に身を置く。足は大地に、顔は風に向けて。答えを求めるのではなく、ともに在る夢を願う。そのあとに訪れるイメージたちは、力を宿した種となる。
儀で夢を世界へ返す
印象的な夢を見たあと、七日間は、その夢について語らない。そののち、おまじないのようなかたちで夢を世界に手渡す。木にリボンを結ぶ。灰で地面にしるしを描く。ひとつの言葉を、沈黙のまま縫いとめる。夢はめぐっていく。説明はいらない。ただ、儀として。
闇の時間に魂を耕す
「夢は、魂の母語である。」―― ジェイムズ・ヒルマン(『魂のコード』より)
夢を見ることを自分に許すというのは、内なる声に耳を澄ますことを育てるということ。そして〈聴くこと〉は、困難な時代において実践しうるもっとも深い抵抗のひとつでもある。意図をもって眠り、自由に夢を見ることは、
ときに革命的な身ぶりとなる。それはまた、避難所でもあり、世界の過剰さを象徴的に消化する方法でもある。自分のもとへ還るための道。切り離されることなく、静かに、自分に戻っていくための。
心理学者の ジェイムズ・ヒルマン なら、「魂をつくる(fazer alma)」必要があると言うだろう。それは超越を目指すことではなく、深さを耕すこと。夢、休息、聴くこと、祈り、意識、それらはすべて、魂を養うための栄養。環境の破局、構造的な暴力、政治的な危機の時代にあって、魂をつくることは、同時に抵抗することでもある。感受性を、手放さずに支えつづけること。
ベル・フックスは、『愛について――すべて』の中で、愛とは倫理的な選択なのだと私たちに思い出させてくれる。世界を愛することは、ラディカルな行為。その愛は、注意深さから始まる。耳を澄ますことから始まる。深く掘り下げる沈黙から、闇を照らす夢から。すべてが感覚を鈍らせようと誘うときに、それでもなお、感じつづける勇気をもつことから。
一年でいちばん長い夜には、どうか急がないで。欲望のうごきを、ていねいに見つめることを自分に許して。古い友だちと語らうように、夢を見る。そして目覚めるとき、闇のただ中にあっても、あなたの内側には小さな火が灯りつづけていることを思い出して。外の世界が崩れかけていたとしても。あなたの内側では、いまもなお、太陽が生まれている。
女性たちとの出会い、ベル・フックスの教え、集団で捧げられた祈り、そして時代の声に耳を澄ますこと。それらから着想を得て生まれたテキスト。
文:冬に夢を見ることが好きなLaura Pujol
イラスト:Natalia Gregorini『マンダラルナー 2025』より

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